SPECIAL TALK

コマキ×タンドゥール スペシャル対談

100年先の未来まで、
この絆を紡いでいくために

今から35年前、おしぼりとペーパーナプキンの配送依頼を受けた小牧社長が、偶然タンドゥールに赴いたことにより
2人は出会った。それから長い時間を経て、お互いにどのような想いで、信頼を築き上げてきたのだろうか。
その深い関係を、紐解いていきます。

2人をつないだおしぼりと
ペーパーナプキン

小牧

私たちがはじめて出会ったのは、まだタンドゥールさんができてから一年も経ってない頃でしたよね。

シャシー

はい、恐らくお店をはじめてから半年くらいだと思います。小牧さんと出会ったきっかけは、おしぼりとペーパーナプキンをとある会社さんから購入したことでした。

小牧

そうそう。当社はその頃からレストランや飲食店向けの食料品を扱っている商社で、洋食を扱うような飲食店や、居酒屋に材料を納めていました。実は、私の実家が静岡にありまして、その同じ町内にあるペーパーナプキンのメーカーさんとのお付き合いがあり、そういった付属品も取り扱っていたんです。そのメーカーさんから、「タンドゥールさんというお店に商品を届けてもらえないか」と声を掛けられたことがきっかけでした。

シャシー

ですから私は最初、コマキさんはおしぼりやペーパーナプキンをメインで扱っているお店だと思っていたんです。

小牧

そうだったんですね。私も、タンドゥールさんがどんなお店なのかを全く知らない状態で訪問したので、今までに見たことのない雰囲気のお店でびっくりしました。その時、生まれてはじめてインドカレーのお店を見たわけです。それが35年前。

シャシー

もうあれから35年も経つのですね。小牧さんとのお付き合いは本当に長いですよね。

小牧

そんなに長い時間が経っているなんて驚いてしまいますね。その初訪問後、何度かお伺いして話をしている中で、「ぜひ一度倉庫を見せてもらえないか」とお願いをしました。実際に見せてもらうとそこには様々な材料があり、このような材料であればうちでも取り扱いがあることを伝えたんですね。

シャシー

その時は衝撃的でした。「え?おしぼり屋さんじゃないの?」と。そこで、倉庫内にある材料と同じようなものを取り扱っているのであれば、見積りを出してもらえないかとお願いをしました。その見積りを確認して、ぜひコマキさんから購入したいと思い、そこから本格的なお取引へとつながっていったんです。

小牧

「インドレストラン」という響きだけを聞くと、日本人としては「スパイス」をイメージしがちですよね。私もはじめはそう考えていて、うちではスパイスは置いてないから関係ないと思っていたんです。しかし、倉庫にはスパイス以外の品物がたくさん置いてあって。そこにはナンをつくるための粉だったり、カレーをつくるためのトマトの缶詰だったり、砂糖も、塩も、油も、色んなものがありました。

シャシー

インドカレーにスパイスはもちろん必須ですが、それ以外は基本的に日本にあるもので代用しているんですよ。ナンだって日本の小麦粉を使用してつくっています。だから小牧さんからほとんどの材料を一括して購入できるとなった時は、とてもありがたかったですね。

小牧

こちらこそ、あの時お声掛けして本当によかったです。「言葉も通じない、材料も現地のものを使っている」と勝手に思い込んでしまっていたのですが、それは違うと、タンドゥールさんが教えてくれました。そして、お付き合いを続ける中で、シャシーさんのお友達のお店も紹介してもらい、お取引先が広がる中で、さらに理解を深めていくことができました。

シャシー

私としても、インドレストランやインドカレーについて多くのことを知ってくださって、とても嬉しかったことを覚えていますよ。

国という垣根を越えた信頼関係を

シャシー

お取引をさせていただくようになった最初の頃、小牧さんは私たちに対してどんなイメージを持たれていましたか?

小牧

うーん、タンドゥールさんに対しては、いい意味で日本人と変わらないという印象があったかな。だから取引をさせてもらうことについて、不安などは本当になかったんです。それはきっと、シャシーさんのお兄さんとその奥さんの影響もありますよね。

シャシー

それは本当に大きいと思います。元々兄と私で一緒にタンドゥールというお店をはじめたのですが、実はその兄の奥さんが日本人なんです。私たちが言葉を理解できない時には代わりに通訳をしてくれたり、日本のルールやビジネスでの注意点などを教えてくれたりと、様々な面でサポートをしてくれたおかげで、日本にもすぐに馴染むことができたのだと思います。そのため、小牧さんとのやりとりも、何にも壁がなくスムーズにできました。

小牧

そうですね。私としても国の違いを感じたことは全くないです。例えば、お支払いに関しても、問題があったことはこれまでに一度もありませんしね。

シャシー

ないですね。お金の部分については、信頼関係を築くためにも一番大切な部分だと考えていたので、そこは細心の注意を払っていました。また、こうした日本のきっちりとした文化は自分の肌にもあっていたので、そこに対する抵抗はありませんでしたね。

小牧

ありがとうございます。こうしたシャシーさんのしっかりとした考え方や熱意に対して、私たちができることは何でも協力できればと考えています。そんな想いから、昔、私がメニュー表をつくったことがありましたよね。

シャシー

ありましたね!デジタルカメラで撮影してくださったものですよね?

小牧

そうそう。デジタルカメラが流行りはじめて少しした頃、120万画素のカメラを購入したんです。ちょうど同じ頃、ファミリーレストランで写真付きのメニューが台頭しはじめていて、わかりやすくていいなと思っていたんですね。これをタンドゥールさんでもぜひやろう!と思い、購入したカメラを使ってタンドゥールさんのカレーを何十種類も撮影しました。その写真をメニュー表に入れることで、メニュー名だけではなく、写真付きでどんなカレーなのかをわかるように工夫したのは、とてもいい思い出です。

シャシー

あの時は本当にありがとうございました!小牧さんの細やかな気遣いが嬉しかったですし、心に深く残っています。そして、撮影の終わったカレーを、「よかったら全部食べていってください」なんて言いましたよね(笑)。

小牧

そんなこともありましたね。そんなに全部食べられないよって(笑)。その後一緒に朝までビールを飲んだりなんかもしましたよね。どこからどこまでが仕事なのかよくわからなかったのですが、とても楽しかった記憶があります。

シャシー

もちろんビジネス上の関係が土台にはありますが、それ以上にこんな風に気軽に接してくださったり、気遣ってくださる小牧さんをいつも尊敬しています。社長だったら普通もっと偉そうにしていてもおかしくないと思うんです。でも、小牧さんには一切それがない。いつも大らかでいてくださるから、何でも相談させてもらっています。

シャシー

先ほどのお話にもありましたけど、小牧さんは私がわからないことを何でも教えてくださるんです。ここ最近の社会事情に関しても、「わからないことがあればいつでも頼ってくださいね」と電話をかけてきてくださって。私たちには理解し難い情報などもあるので、本当にありがたいですし、とても心強く感じています。

小牧

私としては特別なことは何もしていませんよ。困っていたら助ける。シンプルに、ただそれだけなんです。それは当たり前のことだと考えていますし、これからの時代を任せる息子にも、忘れないでいてほしいですね。

シャシー

そんな小牧さんだからこそ、深い信頼関係を築くことができているのだと思います。いつも本当にありがとうございます。そしてこの関係を、これからは息子たちにも築いていってもらえたら嬉しいですよね。

小牧

そうですね。私も「社長」という肩書きはまだありますけど、実質的な運営についてはほとんど息子に任せています。タンドゥールさんについても、シャシーさんの息子さんがいらっしゃるので、彼が今後どうやってお店を運営していくかということになるかと思うんですよね。

シャシー

おっしゃる通りです。これからは彼らの時代ですから、私たちができなかったことをどんどん取り入れながらお店をもっとよくしていってもらいたいと考えています。例えば、私は日本語での会話は問題無くできるのですが、読み書きは苦手なんです。そのため、文字で情報を得るインターネット社会からは遅れをとってしまっていて。しかしながら、息子は私とは違って日本語の読み書きもできます。だからこそ、そういったネットの力も駆使しながらお店を盛り上げていってもらえたら嬉しいですね。

小牧

そうですね。あとは息子同士で仲良くやってもらえたらいいのかな。私たちが35年間お付き合いを続けられているのだから、あと35年ほどはお付き合いが続いていくと思っていますよ。

シャシー

私も小牧さんと同じ想いです。タンドゥールというお店としては、小さくてもいいから名前を残せたらいいなと思っています。そして、小牧さんとこれまでに築いてきた強い絆は、もっともっと伸ばしていってほしいです。将来、50年、100年と、末永く一緒にお仕事ができたら、こんなに素晴らしいことはありませんよ。

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