SPECIAL TALK

コマキ×ターリー屋 スペシャル対談

「この人だから信頼できる」
という確信が、
互いを奮い立たせる

今から20年ほど前、新宿でターリー屋1号店の行列を見た小牧社長は、その瞬間、何かを感じた。
その後、知人の紹介で結びついた2つの企業は、どのようにして信頼関係を深め続けてきたのだろうか。
小牧社長、吉川社長の2人の考えや想いをもとに、これまでのつながり、そしてこれからの未来に迫ります。

行列のできるインドレストラン「ターリー屋」と、
コマキとの運命的な出会い

小牧

今から約20年前、新宿を車で通り過ぎた時、行列ができているインドレストランのお店を発見したんです。それが、私にとってのターリー屋さんとの出会いでした。

吉川

新宿本店ですね。あの時はまだ、1店舗しか出店していませんでした。

小牧

あの頃、様々なインドレストランから新規の依頼をいただいていまして、行列を見た瞬間、「もしかしたらこのお店からもそのうち連絡が来るかもしれない」と感じていたところ、1〜2日後に連絡をいただいたことを覚えています。早速行ってみると、日本人の吉川社長がオーナーとしてお店にいらっしゃったので、本当に驚きました。

吉川

日本人が経営するインドレストランは、今も昔もほとんどありませんからね。

小牧

そうですよね。実は、吉川社長から連絡をもらう前にも、別の日本人のオーナーから4〜5件連絡があったんです。しかし、全員カレーのつくり方を知らず、ただ外国人の社員を雇うだけだったため、一度社員と衝突するとそのままお店を畳んでしまう方が多くて。それ以降、日本人が経営するインドレストランは、依頼を全部断っていたんです。そんな中、ターリー屋さんは違いましたね。最初に驚いたのは、お店にお伺いした時に吉川社長が厨房から出てきたこと。当時、ナンをつくることができる日本人は数えるほどしかいませんでしたので、インドレストランで自ら料理を教わり、独立されたと聞いた時は驚きました。だから、吉川社長の言葉は信じられると思えたんです。それが、ターリー屋さんとのお取引のはじまりですね。吉川社長はどういった経緯でターリー屋を立ち上げられたんですか?

吉川

ありがとうございます。元々私は大学を卒業後、新卒でスーパーに就職しまして、青果を担当しながら試食などをおすすめする販促業務を行っていました。昔から飲食店を経営したいという夢はあったのですが、そのためには資金が必要なこともあり、スーパーを6年ほど勤めた後に独立して、まず販促活動の企画運営を行う会社を立ち上げたんです。その事業がうまく軌道に乗り、10年以上続けていました。そして、設立して12年が経った頃、世の中の流れもあり、このまま続けていても厳しいかもしれないと感じた時に、飲食店経営の夢を思い出したんです。それから、販促事業の知識と経験を活かし、何をテーマに飲食店を立ち上げるのかを考えはじめました。特に重視したのは、「流行のサイクルがゆっくりである」ことです。
経験上、サイクルが速いとそれを追うだけで精一杯になってしまう上に、ビジネスとしても非常に危ない。また、少人数で経営できる業態が会社を存続させやすいことも考慮した結果、「立ち食い蕎麦屋」「カレー屋」「サンドイッチ屋」の3つに絞りました。ちなみに、最初に考えていた「カレー屋」はインド料理ではなく洋風のイメージだったのですが、ちょうどその時、知人の紹介で銀座にあるインドレストランで勉強をさせてもらえることになり、2ヶ月ほどインド料理について学んだことが現在まで活きています。そこで感じたのは、そのレストランと同じマーケットで仕事をしても、絶対に叶わないということ。そのため、少し軸をずらし、ターゲットを「インド料理を食べたことがない初心者」に定め、1,000円以下のワンプレートスタイルに限定した「インド料理の定食屋」をやろうと決めたんです。これが、ターリー屋のはじまりであり、今も変わらないコンセプトとなっています。

小牧

そうでしたか。改めてターリー屋さんのルーツを伺うことができてよかったです。

吉川

私も小牧社長にお話できて嬉しいです。もちろん、カレーが好きというのは大前提にありますけどね。こうしてターリー屋を立ち上げた後に、コマキさんを同じ業界の知人から紹介してもらい、材料の供給をご依頼しまして、現在まで関係が続いています。

信頼できるからこそ、長く愛し、愛される

吉川

コマキさんとのお付き合いがこうして長く続いているのは、やはり小牧社長が信頼関係を大切にされていらっしゃることに尽きると思います。私たちだけではなく、一度取引をしたお店はずっと続くのではないでしょうか。

小牧

そう言われてみると、長年お付き合いをさせてもらっているお店は多いですね。

吉川

また、コマキさんの場合、紹介がほとんどですよね。この業界において、仕入れ先はどの商社さんがいいのかといった話になると、必ず最初にコマキさんの名前が挙がりますから。

小牧

ありがとうございます。実は、この事業をはじめた頃、お取引するお店の数が伸び悩んだ時期があったんです。その理由は、インドレストランのオーナーが9割以上外国人の方で、言葉が通じなかったことにありました。そこで色々考えまして、まず、電話だと何を言われているのかがわからないので、FAXでの注文に切り替えました。例えば、「トマトホール(tomato hall)」などの商品一覧を英語で記載した注文用紙を、あらかじめ配っておいて利用してもらうことで、言葉がなくても伝わります。さらに、彼らはなけなしの資金で出店していて、FAXなどの機械や、ある程度の食料をストックできるような冷凍庫を持っていない方も多かったので、そういった備品を当社で提供し、注文しやすい体制を整えていったんです。もちろん初期費用はかかりますが、インドレストランの材料の8割は当社で提供できるものでしたので、リターンも十分にありました。こうした取り組みを続けてきた結果、いつの間にかお取引先が増えていったんです。

吉川

そうだったんですね。あと、外国人のオーナーさんって、一度決めたら取引先を変えることはほとんどないですし、さらには自分がいいと思ったら広めてくれるので、その連鎖ですよね。これが、小牧社長らしい営業なのだと思います。また、小牧社長と言えば、なんと言ってもお人柄のよさです。数十キロもある小麦粉を、小牧社長が自ら担いで直接お店に持ってきてくださるなんてこともありましたよね。これ、普通はありえないことだと思うんですよ。

小牧

それが当たり前だと思っていましたから。当社は順風満帆に来たわけでもないですし、昔は従業員も少なく、欠員が出たら自分で運ばなければならなかったため、色々と走り回っていましたね。

吉川

そうは言っても普通、社長が自ら運ぶなんてないですよ。その一方で、たくさんのお店がある中で、ターリー屋に小牧社長が来てくださっていると思うと、本当にありがたいと感じていました。また、コマキさんがお休みの日も、何度も対応してくださいましたよね。

小牧

それはやはり、ターリー屋さんの力になりたいからですね。実は、昔は休日電話に出ないようにしていたんですよ。それでも、やっぱりお客様から休日にあえて電話がくるということは、何か急用があるのかなと気になってしまって……。電話に出ると、「コマキさん!宴会の予約が入ってしまって、どうしても材料が必要なんです。」なんて言われて、居ても立ってもいられず、持っていくことも多々ありました。

吉川

この小牧社長の「誰かが困っていたら助けよう」という心。これが多分、みんながコマキさんを紹介する最大の理由だと思います。また、私がお願いする際に、「小牧社長は倉庫を開けてくださるだけで大丈夫です!私が取りに行きますから!」と言っても、なんだかんだお店まで持ってきてくださるんですよね。こうした思いやりが、コマキさんがみんなから愛される所以だと思います。

これから先も、変わらぬ想いと文化を守り続けて

小牧

吉川社長は今後、ターリー屋さんとして考えていらっしゃることはありますか?

吉川

ターリー屋は、このまま「インド料理の定食屋」として経営を続けていきたいと考えています。と言うのも、昨今、インド料理・タイ料理・ベトナム料理を統合させた“アジアンダイニング”が台頭してきていますよね。インド料理は比較的ランチ向きのメニューであることから、夜の宴会などにはあまり向いていません。そのため、アジアンダイニングとして、お酒需要を取り込む形が非常に流行ってきています。しかし、私たちのコンセプトは「インド料理の定食屋」であり、現状これを変えるつもりはありません。もちろん、この業態にはメリットもあればデメリットもあります。それでも、私たちは「一人で気軽に入れて、値段も手頃で、食べたらパッと帰れる」ようなお店をこれからも目指し、一人でも多くの人にインド料理のよさを広めていきたいと考えています。小牧社長はどのようにお考えですか?

小牧

ありがとうございます。私も吉川社長と「継続」という観点で共通していて、“餅は餅屋”として、引き続き日本で仕入れられる材料をお客様に提供できればと考えています。時々、「コマキさんのところで、インドのホワイトペッパーも取り扱ってくれませんか?」なんて言われることもありますが、それはインドの輸入専門店にお任せすればいいと思うんです。一方で、そうした企業とのつながりは大事にしたいですね。例えば、「うちでお客様にはお届けするので、少し分けてもらえませんか?」と声を掛けて、少し材料を分けてもらい、お客様に一緒にお届けする。そういったことが気軽にできるような関係性は今後も大切にしたいと考えています。また、こうした商品群はそのままに、エリアの拡大は視野に入れています。もちろん、そのためには資金も必要ですし、倉庫をつくる土地も必要ですから、すぐに実行できることではありません。それでも、今注力している関東エリアに留まらず、関西など少しでも多くのエリアのお客様のフォローができたらとは思っています。なんと言っても、一つのジャンルにおける“全国のNo.1”ってかっこいいですからね。

吉川

そのお気持ち、よくわかります。私も「インド料理の定食屋」としてNo.1を目指していますので。

小牧

そうですよね。あとはやはり次の世代に引き継いでいかなければと考えています。

吉川

その点、コマキさんは本当に素晴らしいですよね。専務の息子さんが、小牧社長の人間性や会社の文化をよくご存知だと思いますので。それは、私たちにとってもありがたいことだと感じています。また、側から見ていて感じるのは、小牧社長も息子さんも、お互いを大切に想われているということです。小牧社長が息子さんを信頼されているのもわかりますし、息子さんも小牧社長の想いや考え方を守っていかれようとしているのがよくわかるので、しっかりと承継がされていると感じます。会社の代替りほど大変かつ大事なものはありませんので、それが非常によいコミュニケーションで実現されているのは、本当に素晴らしいなと思いますよ。

小牧

ありがとうございます。そう言っていただけると息子もきっと喜ぶと思いますね。引き続き、息子や社員と力を合わせながらターリー屋さん、ならびに他のお客様のお店の成長を、一番近くで支えていければと考えていますので、今後ともよろしくお願いします。

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