SPECIAL TALK

コマキ×ムンバイ スペシャル対談

互いへの信頼感をベースに
食文化の発展に尽くす

小牧社長とムンバイの黒田ポピーさんの出会いは今から20年以上前のこと。黒田さんがまだムンバイを始める前のことでした。「最初からなぜか気が合った」という2人が、それぞれの信念とお互いへの敬意のもとに、お店の成長と食文化の発展に力を尽くしてきた足跡を振り返ります。

お店の立ち上げ時から
何でも相談できる存在

小牧

先日は代々木公園の「ナマステ・インディア」(※インドの食や文化を体験できる無料イベント。2023年は9月23・24日に開催)にムンバイさんも出店されていましたね。私も行きましたよ。

黒田

私もお店に出ていたんですが、ちょうどお会いできなくて残念でした。今回は4年ぶりの開催で、ものすごい人出でしたね。

小牧

お天気も良かったですしね。

黒田

とても忙しかったですが、私もスタッフもこういうお祭りごとが大好きなので、みんなで盛り上がって楽しみました。

小牧

にぎやかで楽しかったですね。ところで、私とポピーさんの最初の出会いといえば、もう20年以上前になりますかね?

黒田

そう。最初は、青山でインド料理店をやっている共通の友人の紹介でお会いしました。もう、知り合ってすぐに小牧社長の大ファンになりましたね。その頃はまだムンバイを始める前だったので、友人としてのお付き合いでした。

小牧

ムンバイ1号店を九段に出したのが、その後の2005年ぐらいでしたか。

黒田

そうです。父が外交官だった私はインドで暮らした経験はほとんどなく、学生の頃に日本に来て以来、結婚も子育てもこちらでしていて日本での生活が長いのです。でも、時々インドの文化がとても恋しくなることがあって、インド料理を日本でもっと広めたいという思いもありムンバイを開業しました。最初はわからないことだらけで、どこに頼ればいいか、誰にどう頼めばいいかもわかりません。そんな中で、何でも相談できる小牧社長の存在はとても心強かったです。小牧社長はインド料理のことをものすごくわかってくださってるので。

小牧

でも私も、最初の頃はインド料理のことなんて何も知らなかったんですよ。数十年前はインド料理店って都内に20軒ぐらいしかなかったから。つまり東京23区で言っても1区に1軒ないぐらいですよね。当社は大田区にあるんですが、地元にはインド料理店がなかったので知らないわけですよ。

黒田

その当時は珍しかったですよね。

小牧

それが、目黒のタンドゥールさんとの出会いから始まって、人から人への紹介でどんどんインドレストランの取引先も増えてきました。うちは飛び込みで新しいお店を取ることは一軒もないんですよ。全部が口コミや人の紹介なんです。そういうやり方でやってきて、今はインド料理店も含め、取引先が1500から1600店ぐらいあります。

黒田

そこがすごいですよね。コマキさんとのお取引は安心できるからですね。何がいいって、頼めば絶対ものがあることです。切れるってことがない。頼めば必ずあるし、なくなりそうな時は「もうそろそろなくなりますよ」と教えてくれる。そこがとても安心です。

小牧

そういうことも、みんなお客さんに教えてもらったんですよね。私もインド料理のことは何も知らなかったので、インドレストランの人に倉庫を見せてもらって、材料はこういうものが必要なんだ、ということを知り、それが品揃えになっていく。最初から“こういうものを揃えればいい”とわかってやったわけではないんですよ。

率直な助言を取り入れながら
ムンバイの味を追求

黒田

今でもそうですが、お店を続けていくのはトライ&エラーで学んでいくことの繰り返し。私一人では何もできないですから、スタッフに助けられて、知っている人に相談もして。小牧さんに助けられたこともたくさんあります。例えばナンの粉をどうするか、という時に相談したり、新しい料理を出す時に一緒に試食してもらって意見をいただいたり。私はムンバイではオーセンティックなインド料理、本場の本物の味を出していくことを何より大切にしています。それと同時に、お客様の90%は日本の方なので、日本のお客様に喜んでいただける料理やおもてなしの工夫もしないといけないと思っています。そんな時に小牧社長の意見が大変参考になってありがたいですね。

小牧

そんなに有益なことを言っている意識はないんだけど、新しいお店が開店するとなると呼んでくれるので、行くんですよ(笑)。

黒田

あと、ラム肉の良さを教えていただいたことも、感謝していることのひとつ。実はインドではラムを使うことがあまりなくて、羊肉といえばマトンなんです。うちのシェフもラムを扱ったことはほとんどなくて。でも小牧社長がラムの良さを教えてくださって、素晴らしい業者さんも紹介してくださったんですよね。今、ムンバイの銀座店ではラムのグリルなどいろいろなラム料理を出していて人気ですが、これは小牧社長の紹介がなければできなかったことです。

小牧

逆に、ポピーさんに教わることも多いですね。以前ポピーさんに「料理の味ってどうやって決めているの?」と聞いたことがあるんですよ。そうしたらポピーさんは「1軒1軒違う」って言ったんです。

黒田

はい(笑)。

小牧

「え、同じムンバイなんだから全部同じ味じゃないの?」って聞いたら、「コックさんはみんなそれぞれの味を持っているから、あとは実際に自分が食べてみておいしいと思ったらそれでいい」と言うんですね。だから10店舗あれば10店舗の味がありますと。それを聞いて、そういうお店もいいなあと思ったんですよね。20軒30軒と出しているチェーンのお店もあるけど、そういうところはみんな同じ味ですよね。でもポピーさんのところは違う。そのお店に根付いた味があるんだから、それでいいんだな、そういうのもいいなと思いました。

黒田

どうしてかというと、インド料理のスパイスって生きていて毎日違うんですよ。いつ買ったものか、どこに置いてあったか、によっても違う。だからレシピはあってないようなもので、インド料理の料理人って材料を量らないんですよね。

小牧

うん、そうですね。

黒田

熟練のシェフになればなるほど、料理の味をみて「もうちょっとターメリック、もうちょっとブラックペッパー」とやりながら仕上げていくんです。だから、もちろんムンバイとしての基本の味はあるんですが、シェフによって味の違いはあっていいと思っています。それも良さというか。お客様も「四谷店の何々が好き」とか「お台場店のこれが好き」とか。その味のファンになってくれるんですよね。

小牧

そういうポピーさんの考え方がおもしろいなと思ってね。個性的で好きですね。ムンバイさんに長く勤めていらした営業部長さんが、先日退職される時にこうおっしゃってましたよ、「ムンバイは1軒1軒やり方が違うので原価計算が大変でした」と(笑)

黒田

あの頃は材料費の管理などがまだまだだったのでご迷惑をおかけしたかもしれないですね(笑)。今はあの頃よりだいぶステップアップしてますので!まあ私もまだまだ勉強しながらですね。

小牧

でもムンバイさんの場合は、取引をしていて相手のことを心配する必要がないのが大きいですよ。いろいろな取引先の中には心配だったお店もありましたけど、ムンバイさんは最初からしっかりやっていらしたので、まったく心配はなかったですね。

黒田

ありがとうございます。

末永く
家族ぐるみのお付き合いを

小牧

とにかくポピーさんとは最初から、何だかわからないけど気が合うんですよね(笑)。

黒田

合います合います(笑)。そして、振り返ると小牧社長にはいつも二人三脚でお店のことを考えていただいたなと思います。材料を仕入れて、代金を支払って、というだけの関係ではなく、困ったらいつでも何でも相談に乗ってくださる。それは、息子さんもそうなんですよね。息子さんも素晴らしい方で、私はいつもLINEで「これは何ですか」「これはどうすればいいですか」と何でも相談しています。二人がいらっしゃることが本当に心強いですね。

小牧

これからは会社のことも専務の息子のほうにだんだん任せていくので、私は息子のバックアップをしながらムンバイさんのことも見守っていきたいと思います。

黒田

息子さんとは昔から家族ぐるみのお付き合いですので、今後とも末永いお付き合いをよろしくお願いします。そして小牧さんにはいつまでもお元気で、私たちに助言をしていただきたいです。

小牧

まあ我々は材料屋なので積極的に前に出て何かをするというよりも、まずは商品を切らさないとかそういう部分で、裏からしっかりお店のみなさんをフォローしていきたいですね。

黒田

それが一番嬉しいです。どうぞムンバイにもいつでもお食事しに来てくださいね。

PAGETOP